海底遺跡から発見。ほぼ無傷の軍用船はなんと2000年以上前のもの

Photo by Bobbi Wu on Unsplash

ヨーロッパ海洋考古学研究所(IEASM)の指揮のもと、調査を進めていたエジプトとフランスの合同調査チームが古代エジプトの難破船を発見したのは、水中に沈む古代都市「ヘラクレイオン」の遺跡中心部でした。

ずっと海底の粘土層に埋もれていたため、本来は塩水で劣化が進むはずの船の状態は非常に良好で、2100年ほどの長い時間を海中で過ごしたにもかかわらず、ほぼ無傷と言っていい保存状態だったのだとか。

この船は通常の客船や貨物船に比べて幅が細くなるように作られています。これは水の抵抗を減らし、より移動を高速にするための工夫で、客船や貨物船のように積載量を増やすための工夫はなされておらず、IEASMはこれを軍用船であると考えているようです。

帆船ではなくオールを漕いで進むタイプのガレー船であり、この時代の高速ガレー船がほぼ無傷の状態で姿を現すことは非常に珍しく、この稀有な発見は今後の古代エジプト研究に大きな進展をもたらすことでしょう。

ヘラクレイオンはギリシャ神話の英雄ヘラクレスが訪れたこともあると言われている伝説の都市で、トロレス(トーニス)とも言われる古代都市です。紀元前6~4世紀には貿易都市として隆盛を極めましたが、度重なる地震や洪水で海の下に姿を消しました。トロイ戦争が始まる前、メネラーオスから逃れたパリスとヘレネーがやってきたという謂れもあるのだとか。

かつてカノープスとヘラクレイオン、トロレスの3つの都市が海底に沈んだと言われており、カノープスは1933年に発見されましたが、残りの2つの都市の場所はわからないままでした。ヘラクレイオンとトロレスは長らく別の都市だと考えられていましたが、IEASM の創設者であるフランク・ゴディオ博士が2000年に海底遺跡を発掘し、ヘラクレイオンとトロレスが同じ都市であることを発見しました。

フランク・ゴディオ博士が調査・発掘を開始した1999年以降、ヘラクレイオンにおいて調査されている範囲は都市全体の5%にも満たないのだとか。今後さらなる発見・発掘が進むことが期待されますが、謎の古代都市の姿が全て明らかになるのは何十年、何百年後のことなのでしょうね。