中世のアラブイスラム地域医療:アラブイスラム地域

“Islamic Science and Technology” By: Nikos Niotis CC BY-NC 2.0

8世紀~13世紀の間、アラブ地域では日々経験通じて「伝統医療」が生み出されました。彼らは植物や蜂蜜から薬を作り出し、患者を癒し、焼灼*①を使用し、損傷した手足の部分を切断するなどの手術を行っていました。
その時期は、「アラブイスラム地域の医療」に関する書籍が偉大な医師たちによってアラビア語で数多く残されました。アラブイスラム地域の医療の発達に大きく関わった医師と病院を紹介します。
1人目はAbu Bakr al-Razi(865年~925年)さんです。彼はペルシア、古代ギリシア、インドの医学にも精通していたことで、イスラム地域やヨーロッパの医学に多くの進歩をもたらしました。彼は医学だけではなく、化学や哲学、物理学にも長けていたので、エタノールを発見し、医学用のエタノールの精製を行いました。イギリスのBritannica百科事典によると、al-Raziさんはイスラム圏において最も偉大な人と考えられています。
2人目は、Ibn Sina (980年~1037年)さんです。科学分野に精通し、特に医学と哲学についての著書を多く残しています。彼は世界中で初めて医学についての著書を執筆した人で、その中の「Canon of Medicine」は約700年に渡り、ヨーロッパの医学に大きな影響を与え、近世初期までヨーロッパの医学学校においても用いられていました。
最後はイスラム地域において有名なAbul Qasim al-Zahrawi (936年~1013年)さんです。彼は医師や薬剤師、科学者として活躍し、中世イスラム地域で最も偉大な外科医の1人とされています。20種類の外科用器具を発明したことと、約50年間に渡る外科医としての経験をデータとして残していることで、現代でも「手術の父」として知られています。
次に、当時の病院について紹介します。アラブイスラム地域では「病院」をペルシア語由来の「ビーマリスターン」と呼び、「患者の家」を意味します。USNLM*②によると、706年にイスラム地域で最初のイスラム調のビーマリスターンがダマスカスに設立されました。ここは総合病院ではありませんでしたが、その約70年後に設立された病院には精神科、眼科、薬局、感染性および非感染性疾患セクション、医学や薬学などを教える学校も設けられました。
中世まで受け継がれた医療の知識を参考にしながら、日々の実験や経験を通して、医療を進歩させた時代でした。そして、現代医療へ通じる礎となったと考えられます。

*①焼灼:昔、蛋白質の熱凝固作用によって止血する方法として重傷の場合に使われていました。
*②USNLM:US National Library of Medicine(アメリカの国立医学図書館)