2022年カタールワールドカップ開催に向けた取り組みと課題:カタール

Arab Games 2011 Opening CeremonyBy: Isabell Schulz CC BY-SA 2.0

7つの主要都市に建設される9つの新しいスタジアムと3つの改築されたスタジアムは二酸化炭素を排出せず、天候に左右されないものとなっています。それこそが、アラブ諸国の中でも一番小さなカタールが2022年のワールドカップ招致計画のために提案された建築であり、カタールがアラブ諸国初めてのワールドカップ開催地となった理由でもあります。

トーナメントは7つの主要都市12の会場で開催されますが、3つのスタジアムは2012年から2020年の間に改築され、9つの新しいスタジアムは2011年から2021年の間に建設される予定です。カタールの夏の気温は50℃を超えることもあるため、各スタジアム、トレーニング施設、観客席には太陽光による冷房設備が設置され、27℃に保たれることになっています。カタールでのワールドカップの開催は2000億ドル以上かかると見積もっていますが、予算に対して、地元の反対意見は見られません。

ルサイル=アイコニックスタジアムは、人口43,176人の新開発都市であるルサイル市のアル=ダーイェンに設置されます。この会場はカタールワールドカップの中心会場であり、決勝戦はここで行われます。国際的な建設会社のFoster+Partner社によって設計されたこのスタジアムは、この写真のように水面に囲まれ、屋根が客席部分上に浮かんでいるような印象を与えるように設置されています。収容人数である約86,000人もの観客は新たに建築された鉄道か地下鉄を利用し、6つの橋を通って入場できるようになっています。2022年のワールドカップのために建設される他のスタジアムと同じように、ルサイル=アイコニックスタジアムもピッチと客席を27℃に保つため、太陽発電機能を使用しています。このスタジアムはワールドカップ終了後20,000人を収容する会場に再設計される予定です。

カタールは人口200万人程度の小さな国であり、そのためこのワールドカップのために建設されたものは慎重に経営されなければなりません。したがって最終的にFIFAの主催者はカタールの国を超えるワールドカップのあとに再建設をすることができるモジュール要素でスタジアムを建設することを約束しました。ワールドカップ終了後、多くの客席が9つのスタジアムから撤去され、その後、国を発展させるため、スポーツのインフラなどに使われます。12の新しいスタジアム経済成長著しい中で建設され、その後の再建設では国内のエンターテイメントの需要に見合った形で客席が撤去されるのです。

このワールドカップは2022年の11月と12月に開催予定です。しかし、賄賂行為への異議や奴隷労働、そして同性愛、アルコール、イスラエル人選手の参加などの論争は簡単に解決される問題ではないようです。2022年ワールドカップのカタールへの招致は未だにFIFAの歴史上において最も議論呼ぶものとされています。汚職への告訴がされたため、FIFAは長期に渡りカタールにはいかなる汚職もないとの調査を行いました。しかし、調査のチーフであるMichel GarciaはFIFAの報告書は具体的には不十分で間違っていると述べました。

費用の面では、南アフリカが2010年ワールドカップに費やした35億の約50倍、そしてロシアが2014年ソチオリンピックに費やした510億の約4倍である、おおよそ2000億ドルの費用がかかることが予想されています。そのうち480億がスタジアムのエアコン代に、770億が観客や選手のための施設に、500億がカタールの交通インフラの改善に、そして450億がオープニングセレモニーや決勝戦が行われるルサイルスタジアムに利用されるとドイツの法律、経済の専門家であるNicola Ritterが述べています。

ルサイルスタジアムは約86,000人を収容できる観客席があり、カタール文化が生んだ現代のスタジアムの象徴であると大臣のHassan Thawadiは言っています。カタールでは日本と違い、2022年ワールドカップの準備予算を増やすことに地元住民は不満や反対の意を示していません。しかしながら、費用増加に伴い、カタールはスタジアムの数を少なくするよう要求したと報じられています。ちなみに、日本においては急騰する予算が国民の怒りに触れ、2020年のオリンピックに重要なスタジアムの計画を崩さざるを得なかったと日本のメディアは報じています。

一方で、移民労働者の人権問題が注目を集めています。いくつかの国際的メディアは国際労働組合総連合がワールドカップに関係するインフラや建設計画のために働く際に、1,200人以上が死亡したと主張している一方で、カタール政府はそのような事実は全くないと反論していると報じています。このような事態に対して、カタールとFIFAは新しい人権の条約を成立させましたが、人権の監視団体は、それらは十分ではないと述べています。
もう一つの問題はイスラエルと関係があります。イスラエル軍がガザ地区への侵略をしたことで、カタールはイスラエルとの関係を断絶しているにも関わらず、ワールドカップにおいてイスラエル選手を領土に入れることを許可することになっています。彼らの招待はアラブ世界において前例がないのです。
アルコールは限られた区域でのみ許可されており、カタールで違法とされている同性愛もまたメディアの関心を引きつけています。FIFAの主催者であるSepp Blatterはカタールでのワールドカップで同性愛者が直面する問題に対して笑ったことで大きな非難を浴びています。
カタールのインフラが十分でないことやサッカーの伝統があまりないこと、そして人権問題や汚職に対する疑惑などは2010年にカタールがワールドカップ開催国に選定されて以降もっとも大きな議論となっています。決定から約5年経ちますが、2022年のワールドカップが近づく中で、これらの問題はいまだ解決されていません。
(パンオリエントニュース)