イエメンで広がる紛争、人道的非常事態に

“Air strike in Sana’a 11-5-2015” By: ibrahem Qasim CC BY-SA 2.0

 

 

イエメンで広がる戦争は破滅へ向かっていると言われており、それはまさにシリア、リビア、そしてイラクがたどった道のりと似ています。国連はイエメンの状態を人道的非常事態の中で最も高いレベルにあると宣言しました。人口の80%以上が現在支援を必要としており、約3,000人が死亡、約15,000人が負傷しました。また、100万人以上が国から退去、25万人以上が難民となり、3,000人以上がデング熱を発症しました。国際保健機構(WHO)によると、1,300万人が食糧の危機に直面し、940万人がほとんどもしくはまったく水を得ることができていない状況です。サウジ連合軍による空爆と地上戦の結果、住居、学校、病院、橋、国際空港、世界遺産、歴史的建造物を含む市民のインフラは破壊されました。しかし、この状況は6月にジュネーブで開かれた和平会議が終わった直後に急速に改善されています。

政治の面では、アリー・アブドッラー・サーレハが2011年に有名な抗議活動を起こしたことにより、30年に渡って務めた大統領は辞任し、サウジアラビアが率いる湾岸協力会議の仲介によってアブド・ラッボ・マンスール・ハーディーを次期大統領としました。しかしながら、サーレハは未だにイエメンのほとんどの軍隊を掌握し、国への影響力を保持しています。ハーディー大統領は手におえない政治領域をまとめることと、数年間北部で反乱を長引かせているアラビア半島のアルカイダとシーア派武装勢力のフーシ軍から身を守ることに奮闘しています。

一方で、インフラと文化遺産にも甚大な被害があります。4月17日の国連人権高等弁務官事務所の公式な報告書によると市民のインフラは破壊され、空爆の結果少なくとも5つの病院が破壊されました。この戦争の最初の空爆では、国際スタッフが病院の残り少ない医師や看護師を置いて、避難していきました。そして15の教育機関、3つの空港、そして2つの橋が被害を受けました。そして、アデン、ハージヤ、サーダの地元の商店や発電所、水道設備や下水設備などが被害を受け、南部にある民家は空爆や武力衝突で直接的な被害となりました。

文化遺産への被害を受け、6月12日、ユネスコはイエメンの古くからの主要都市サヌアへの爆撃を禁止しました。そして「この文化的遺産はイエメンの人々の魂に値し、全人類の知識の何千年もの歴史である。」との声明を出しました。この街は6世紀以降、イスラム教育の中心となるにつれて、103ものイスラム教寺院、14の公衆浴場、そして6,000棟以上の家ができ、それらはすべて11世紀よりも前に建てられました。ユネスコによるとサヌアは2,500年間以上、居住地となっており、イスラム文明の富と美しさの発祥の地となっています。1世紀になるまでに、そこは内陸の貿易ルートの中心として栄え、その住居と公共建設物は伝統的なイスラム人居住地の傑出した例となっています。サヌア市街地に密集している、印象的な模様が施されたレンガの塔は世界的にも有名で、イエメンの象徴と誇りとして必要不可欠なものとなっています。イエメンの文化遺産は減り続けている現状ですが、歴史的な居住ビルや像、博物館、古代遺跡、礼拝場所などは被害がでていないところもあり、紀元前8世紀から存在するマリブの巨大なダムもその一つです。このような文化遺産を守ることが今後の課題となっています。

(パンオリエントニュース)