アラブの春 ドミノ倒しはシリアまで至るか(後編):アラブ諸国

ホムスの市街 2012年春の様子” 

シリアのドミノは現時点では、重すぎて簡単には倒れないようだ。
1963年の軍事クーデターによりバース党と軍事政権によって統治され、1970年以降はアサド一族が権力を握るシリア。アサド政権はアラブの春にとって、簡単に倒せる駒ではないことは当初から明白であった。

シリア南部の都市ダルアーでデモが始まり、他の都市でもデモが拡大するとすぐに、アサド政権は警察や軍隊を動員して無慈悲に鎮圧した。シリアの報道機関とアサド大統領は、「海外の武装勢力」、「外国の陰謀」や「反イスラエル勢力の敵」がデモ参加者殺害の背後にあると非難した。

しかしながら、公安部隊の映像には平和的なデモ参加者を狙撃し、デモ参加者でない人々を拘束しているものがあった。また、アサド政権を終わらせようと声を上げながら通りを歩く数千人の人々の映像もあり、これらが動画サイトYouTubeやSNSのフェイスブックを通して世界中の注目を浴びた。シリア政府が国内からの報道を制限してから、インターネットはシリア(リビアに於いても)の革命という非常に重要な役割を担っている。

アサド大統領は、国民の要望に応える意思はないことを明確にした。これに対して国民は、政権一派による大虐殺を恐れずにますますデモを拡大している。状況は拡大の一途をたどり、アサド大統領は特に反乱をおこしているホムス、イドリブ、ダルアーを破壊するよう軍に命令を下した。軽装備の機甲部隊が国中に派遣されたが、何百という兵士が部隊から逃れて、人々と共に革命に参加している。しかし一方で、この現状はシリアの状況を武装革命のように見せており、これは平和的な運動を保持しようとしている一部のシリア人の主義に反している。

シリアの状況はロシアとイランの影響を受けて、より一層複雑なものになってきている。この一連の出来事で、二カ国とアサド政権の強力な同盟が明白になった。ロシアは国連安保理(UNSC)で、シリアに関する決議において拒否権を発動した。ロシアは表面的な改革をして、アサド大統領を権力の座においたままで和解を推し進めようとしているのだ。またイランは政権への物流貸与による支援を非難されている。一方でカタールやサウジアラビアに率いられているアラブの数カ国は、アサド政権に対抗する運動を外交においても、世界全体においても率先して支援してきた。シリアの現状は、国中で衝突が起き、暴力の終わりが見えなくなっている。

このような状況は、アラブの春のドミノ倒し、これまでの政変の連鎖を止めたような形になる。それはシリアだけではなく、バーレーンにおいてもいえる。この小さな島は、絶対権力の国王に対する民衆の運動を目撃した。アラブの春の始まりにおける、エジプトやリビア、イエメン、シリアの同志と同じように、デモ参加者が通りを占拠した。当然のことながら、王の軍隊は君主制を守るために動き、後に平和的なデモ参加者に対する不当な暴力に訴えたことを非難された。

またアラブの春の諸国のように、国王と王室報道機関は「外国の陰謀―主にイラン」を王国の不穏を刺激したとして非難した。アラブ湾岸諸国は、揺れるバーレーン国王を助けるために殺到し、サウジアラビアは秩序を保つために軍を派遣した。そうして、現在サウジアラビアとバーレーンの二カ国間における結束を話し合っている。バーレーンの危機は制御可能な状態にあるようにみえる。しかしまだ解決したわけではない。一方で、シリアでは血の衝突が続いている。

これらはアラブの春がシリアとバーレーンで行き詰ったことを意味し、独裁的で非民主的な政権のある他のアラブ諸国、アルジェリア、モロッコ、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)そしてヨルダンにとっては良いニュースになる。これらの国々は、シリアとバーレーンでドミノが止まることを願っている。そうすれば、君主制や共和制を担う一族による圧制的な法や権力と富の操作を続けることができるからだ。

(パンオリエントニュース)

 

6/26にアサド大統領がシリアは本格的な戦争状態にあると宣言してから7/2現在においても、シリアは依然として混沌とした情勢の中にある。シリア人の知人の家族はホムスに住んでいたが親戚も含め市外、もしくは国外に避難している。家を空けた後、家財の盗難被害に遭うことが多いようで簡単に遠くに逃げられないとも話していた。いずれにしても市民の願いは早く故郷に帰れることだが、もう少し時間がかかりそうである。