大金持ちと失業者の混在する中近東諸国

アラブ諸国でも特にペルシャ湾周辺には、泳げる程の石油やガス、天然資源をもつお金持ちがいると言われています。最新の長者番付では、アラブのお金持ちは2,070億米ドルの富があると分かりました。しかし同時に、アラブ諸国では40%にあたる1億4千万人の人々が貧困基準を下回った生活をしており、その所得格差は増加する一方です。
2009年末までに、ビジネスマンや女性など5人のお金持ちアラブ人の資産だけで2,070億ドルとなり、これはサウジアラビア国民全体の財産の60%に匹敵します。世界的金融危機の影響で様々な産業が打撃を受け、更なる貧富の差を生み出しました。長者番付に新しくランクインした人は、サウジアラビアだけでも12人、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールでそれぞれ1人となりました。特筆すべき点として、数千億ドルもの資産が報告されている君主の個人的資産はこの番付に含まれていません。その中でも上位50人のアラブビジネスマン長者番付では、35名が去年からリストに残っており、さらに45億ドルの資産の増加が見られました。一方で、世界的経済の悪化により観光、小売り、不動産や建設と様々な市場に悪影響があったことや、不良債権によりペルシャ湾岸の銀行の株価が下がったことから、20名は2008年に比べ資産の減少が見られました。
上記番付に含まれるアラブ女性については、社会的伝統やその他の諸事情により公式に公開されているものはありません。しかし、ドバイ女性実業者団の会長によると、湾岸協力会議のアラブ女性の富は1,000億米ドルを越えると言われています。また、その他のデータでは、アラブ女性の富者は45,000人を越えるとされています。ほとんどの富は銀行に預金されており、40%以上はサウジアラビア女性によるものです。また、ペルシャ湾岸の女性は、起業するための莫大な助成金の支援を政府から受けることができるようです。
国連開発計画とアラブ連盟の報告によると、アラブのお金持ちとは対照的に、アラブ諸国の40%にあたる約1億4千万人の人々が、貧困基準を下回った生活を強いられています。ただ、アラブ世界においてここ20年近く貧困率は下がっていません。そして、ほとんどのアラブ世界での若者の失業率は50%を越えるということを強調しています。アラブ諸国は、世界でも一番若者の失業率が高いのです。貧困は農村部に集中しており、その国の75%もしくは100%にあたる貧困層の人々が農村部に住んでいるとのことです。アラビア諸国での失業率は、13.7% (2008年のアラブ諸国総人口は3億3,450万人)となり、世界平均失業率の5.7%や他の地域と比べて最も高い失業率です。最も高い失業率はパレスチナ占領地区で、イスラエル占領軍の攻撃により28,000人の人々が家や土地を追われ、他国での職探しを強いられています。ガザ地区での貧困率は、イスラエル占領軍の攻撃や包囲により人口の90%に達し、1,500万人以上の人々が、生活保護を受けて暮らしています。アラブ諸国では高い貧困率が続いており、国連関係組織によると貧困レベルを下回る人は1億4,000万人にのぼります。また、湾岸協力会議がアラブ労働者の代わりとして、主に南アジア諸国からの非アラブ労働者を大量雇用していることが報告されています。アラブ諸国の中でも高い貧困率を抱えている国は、ソマリア(総人口の約45%にあたる3,500万人が飢餓に直面)、イラク(貧困率は総人口の60%、失業率は50%)、スーダン(総人口の50%が貧困レベルを下回る)があげられます。
先日アカデミー賞を受賞した「ハート・ロッカー」という映画を見てきましたが、映画の内容はもとより、画面に映るイラクの町の現状にそこまで荒廃しているのかと驚いたのが正直な感想です。貧困率は20年変化ないということですので、それは貧困を引き起こす大きな原因である戦争が常に行われているということなのだと思います。世界有数の大金持ちがいる一方で、どこよりも失業率の高いアラブ諸国。そんな両極端な要素をもつのもアラブ諸国を表す一つの特徴なのですね。
(パンオリエントニュース)