国際空港評議会がアフリカ大陸における、年間200万人以上の旅行者が利用する空港を対象とした2017年度空港格付けを発表し、モロッコ王国にあるカサブランカ国際空港(ムハンマド5世国際空港)が初めて格付け1位となりました。カサブランカ国際空港は3つのターミナルを持つアフリカ有数のハブ空港です。

この空港があるカサブランカ市はモロッコ最大の人口(400万人超)を有する同国の商業・金融の中心都市ですが「カサブランカ」と聞いて、先ずもって映画「カサブランカ」を連想する人も多いのではないでしょうか。1943年にカーティス監督によって撮影された本作は公開当時にアメリカアカデミー賞3部門を受賞しただけでなく、公開から80年を経て今なお、AFIアメリカ映画100年シリーズの様々な項目でランキングされている不朽の名作でもあります。高瀬鎮夫氏によって日本訳された有名な「君の瞳に乾杯」という台詞は一度ならず聞いた方もいると思います。

このモロッコ、実はハリウッド映画を始め多くの映画の舞台となっています。モロッコを舞台とした映画の一例として「モロッコ:1930年制作。日本初のトーキー(字幕付き)映画」「知りすぎていた男:1956年制作。ヒッチコック監督作品」「007シリーズ:007リビング・デイライツ(1987年制作)、007 スペクター(2015年制作)」などが挙げられます。

またモロッコ中部にあるワルザザート市には「アトラス・スタジオ」という映画スタジオがあり「ナイルの宝石(1985年制作)」「ハムナプトラ(1999年制作)」「グラディエーター(2000年制作)」などの撮影が行なわれました。国内外含めて年間100本以上もの映画がこのスタジオでは撮影されているそうです。スタジオの裏には広大なサハラ砂漠が横たわっており、モロッコではない舞台設定であっても、砂漠を舞台とした映画の撮影には恰好のロケーションとなっているのでしょう。これらはモロッコがアフリカ有数の映画振興国であるという側面もありますが、国を挙げて映画の撮影ロケ誘致を積極的に行なっているというのも大きな要因となっています。作品によっては、王国軍が全面協力している作品もあります。

そんな映画産業に力を入れているモロッコは映画祭も多く開催しています。国内最大級の映画祭であるマラケシュ国際映画祭へはスコセッシ監督など欧米の映画関係者が招待されていますが、日本からも2014年に是枝裕和監督や黒沢清監督、廣木隆一監督などが招待されています。
また世界遺産にも登録されている古代ローマ遺跡群の残るメクネス市。ここではメクネス国際アニメーション映画祭が開催されており、2004年に高畑勲監督が招待され講演を行ないました。また同映画祭には今年3月に片渕須直監督が招待されており「この世界の片隅に」「アリーテ姫」の上映と講演が行なわれる予定です。政治経済だけでなく映画文化においても、モロッコと日本との交流が今なお深く続いています。