広大なレバノンのワイナリーで働く女性たち

“広大なレバノンのワイナリーで働く女性たち”

アラブ諸国では、ワイン産業が前例を見ない程高い生産水準、安定成長、品質向上を遂げています。国有化や戦争による長い休止期間を経て、ワイン産業はモロッコ、チュニジア、アルジェリア、エジプト、レバノン、ヨルダンの地域で発展しており、シリアでもまさにそのブームが始まっているところです。AFP通信によると、ワインに使用されるブドウはこれらの国々の82,000エーカーもの土地で育てられ、そこからおよそ1億4千6百万のワインが製造されているとのことです。産業収入は全体で3億4千万ドルにのぼり、約5万人の労働者がワイン産業で働いていると言われています。
エジプトは7年間で2倍の生産量となる850万本のワインを製造し、その75%は観光客によって消費されています。観光産業の好調がこの先続けば、ワイン産業もこれから5年間で倍に成長するでしょう。シリアでは、1960年代に大部分の産業セクターが国有化されたことにより、ワイン産業は打撃を受けました。しかし、John Sa’adahという実業家がラタキアの近くの広大な土地にブドウを植えた事により、その2年後には実を結びました。また、Homsというシリアの別の都市では、オランダの神父が同じようにブドウを植えました。家庭では、クリスマスなど特別な時に飲む用に自家製のワインを製造するという伝統が根づくようになりました。
レバノンでは内戦によりワイン産業が脅かされましたが、1990年には3つしかなかったワイナリーも今はこの小さな国で18のワイナリーを持つほどになりました(写真上)。ワインの生産量は700万本に増え、そのうち40%は輸出され、2007年には2700万ドル、年間成長率10%を達成しました。ヨルダンでは、1967年にイスラエル軍がヨルダン川西岸を占拠した第三次中東戦争により、ワイン産業は危機に瀕しました。その時から当時の神父達によって2つのワイン工場が稼働していましたが、最近ではクリスチャンである2家族が新たなアルコール産業を立ち上げています。 アルジェリアのWahran地方, チュニジアのNabel地方, モロッコのMeknas地方はアラブ世界でも最大のアルコール生産量のシェアを誇っており、その20%にあたる15ブランドはヨーロッパ市場に輸出されているのです。
こうして復活したアルコール産業は厳格なイスラム教徒によって、アルコール飲料に高い税金をかけるべき、アルコールそもそも禁止するべきだといった批判もありますが、ワインづくりの習慣は人類最古の文明と時代を同じくしてすでにあったといわれています。ワインの起源は解明されていませんが、考古学上の見解としては、ワインづくりは少なくとも8000年前からあり、ヴィティカルチャー(特にワイン醸造用のブドウ栽培)は約5000年前メソポタミア(現在のイラク及び東シリア地域)に持ち込まれたといわれています。同時期の中国とエジプトの資料にも、ワインとワイン園についての記述があります。エジプトのフレスコ画には、ブドウの収穫祭が描かれており、その雰囲気はすでにワインづくりが国内で収穫期に普及していたことを教えてくれます。最も質の高いワインはエジプトの王やファラオ達のために用意され、ワインは税を払うものとしても受け入れられていました。
こうした古くからの文化が前提にあるため、多くのアラブ諸国でワインは広く受け入れられているようです。アラク(Arak)という主に蒸留されたブドウとアニスが含まれた強く無色のアルコール飲料が有名で、よく食前酒として飲まれます。アルコールに厳しいアラブ諸国でもレストランなどで飲めるようなので、旅行された際にはぜひ試してはいかがでしょうか。
(パンオリエントニュース)