ラマダン、一か月の断食:イスラム諸国

“断食の始まりと終わりを知らせる大砲”

イスラム暦の9月にラマダンという宗教儀式が行われます。世界中にいる10億人以上のイスラム教徒にとって特別な月であり、イスラム教の第三の宗教的義務でもあります。イスラム教徒はラマダンの間、日々の生活ではなく自らの信仰について意識を集中させます。崇拝と瞑想の月であり、自己改造や悟りに集中し、祈りやチャリティー活動などを通じて神との結びつきを強化する大事な期間です。
しかしラマダンがいつ始まるかはそのときにならないと分らないそうです。月が見えた時が始まりなので、サウジアラビアとエジプトでは日曜から始まったのにシリアとヨルダンでは月曜からだったということもあるそうです。ちなみに日本在住のイスラム教徒は、マレーシアのラマダンの期間に従うそうです。
ラマダンの断食の間は厳しい制限が課せられます。もっとも一般的なのは、夜明け前にsuhoorという食事をし、日没後にiftarという食事をすることです。日中は一切飲んだり食べたりできず、断食の間は喫煙や肉体関係も禁じられています。日没になると祈りをささげ、iftarという夕食を食べます。ラマダンでは人との関わりを大事にするのと、皆同じ時間に食事をすることもあって、夕食は知り合いと一緒に食べることが多いそうです。写真の大砲は断食の始まりと終わりの合図に使われています。確かではありませんが、一説によるとエジプトの支配者モハメドアリパシャが新しい大砲を買い、試し打ちをした時にちょうど一日の断食の終わりの時刻と重なったことが人々の間で話題になり、それ以来始まりと終わりの時刻に打たれることになったそうです。
ラマダンの間の一カ月はなるべくコーランを読むようにし、モスクでのコーランの朗読を聴きに行く人々もいます。Tarawihという特別な祈りによってコーランを全部朗読する人もおり、この祈りは一カ月の間毎晩モスクで行われ、コーランの1/30であるjuzが毎晩暗唱されます。
ラマダンの最後の10日間は特に重要で、神と近付くために強い信仰心とよい行いを心がけます。イスラム教開祖にコーランの最初の章(Night of power: Lailat ul-Qadar)が紹介されたとされる夜は、27日目の夜にあたります。コーランには、この夜は他のどんな夜よりも大事だと記されています。そのため、この特別な夜に一晩中祈りを捧げるイスラム教徒が大勢います。
イスラム教徒にとって断食は常に推奨されていることですが、ラマダン中の断食は必ずしなければなりません。病人や旅行者、事情のある女性などは免除されますが、断食が可能になった時にやらなければなりません。イスラム教の教えの中では、ラマダンがもっとも広く行われている信仰の形かもしれません。
(パンオリエントニュース)