世界海軍も苦戦している海賊:ソマリア

海賊に攻撃された船の解放を見守る人々” 

長い間内戦で苦しんでいる国ソマリアは近年、海賊の基地として有名になってきています。その力は強大に成長し、世界有数の海軍に戦いを挑んでいるほどです。ソマリア沖の海賊行為は、1991年に中央政府が崩壊し国が混乱に陥った頃から始まりました。今でも続く無政府状態の結果の一つが海賊による外海での国際船舶への攻撃なのです。
ソマリアの海賊は20歳から35歳が多いと見られ、国のほとんどが食料援助を受けなければならない状態にもかかわらず、豪華な生活を送っていると思われます。専門家によると、これらの海賊集団は3種類のグループで構成されているそうです。1つ目のグループは元漁師:海を知り尽くしているためグループの頭脳を担当します。2つ目のグループは元軍人:ソマリアの民族抗争に参加していた人々でグループの兵士を担当します。3つ目のグループは技術者:衛星電話、GPS、軍用ハードウェアなどのハイテク機器を使いこなします。
日本を含め多くの国がソマリア沖に軍事駆逐艦を派遣していますが今のところ海賊を撃退するには至らず、むしろ海賊の力は日々強くなっていると言われます。アラブのメディアには、エリトリアやエチオピアなどの近隣諸国が海賊を支持しているとのコメントもありますが、海賊の問題がなぜここまで大きくなってしまったのか、さまざまな説があります。
イエメンのAl Shoura議会のレポートでは、これら海賊の強大化はある国の利益へつながり、隠された思惑があるとしています。海賊の存在によりアデン湾と紅海海峡における西洋の駐留を正当化することで、航路とアラブ海を管理することができ、最終的には紅海を国際化し、地域の港を支配する目的があると言います。他のレポートでは、海賊活動が注目されることにより厳しくなった航海条件によって、隠れていた北朝鮮とイランを行き来している貨物が発見しやすくなり、それらを制限するために当人であるアフリカ周辺諸国を無視して、その航路を欧米の大国で支配しようとしていると伝えています。他の説として、この地域を不安定にするために海賊にハイテク機器や情報を流し、スエズ運河の貿易に悪影響を及ぼそうとしていると特定の国を非難しているものもあります。
しかしなぜ世界の軍事力をもってしても現代の海賊問題は解決されないのでしょうか?世界の大国は陸(アフガニスタンやイラク)でも海(ソマリア沖)でも、国全体ではなく一部が武力化した人々に対しては無力なのでしょうか。もしくは政治的な理由から解決できないのでしょうか。この問題についてさまざまな国際的な案が出されていますが、ほとんどのアラブ人専門家は、ソマリアの経済の建て直しを支援し内戦を終結させることが海賊問題の解決につながると指摘しています。
日本から遠いソマリアの話ではありますが、中近東・北アフリカと交易をしている弊社にとってもこの海賊問題は身近な話です。貨物を船で輸送する際にはソマリア近辺を通る航路を利用しますが、その際には海賊対策としてセキュリティ費を別途支払っているのです。余談ではありますが、個人的には海賊というと映画でも有名な「パイレーツ・オブ・カリビアン」を思い浮かべてしまいますが、こんなにも組織的でハイテク化したプロ集団に対して海賊と呼ぶことに、どうしても違和感を覚えてしまいます。
(パンオリエントニュース)