原子力発電への変化 : 中近東諸国

“原子力発電への変化 : 中近東諸国”

西洋と東洋の協力を得て、原子力を発電のために平和的に使おうという国がアラブ諸国で増えています。アラブ首長国連邦とヨルダンは日本の支援を受ける合意をしており、エジプトも積極的に交渉しています。実はこれまでアラブの国では発電のためであっても原子力を保有する国はありませんでした。
政治的な問題が絡むため、中東における原子力問題は非常にデリケートなものです。たとえ平和的な利用であっても、原子力は中東に存在する緊張を増幅させてしまいます。イスラエルは核貯蔵庫を保有しているといわれ、イランも開発中だと西洋から非難されています。もしどこかの国が核兵器の開発に成功したら、今はイスラエルに傾いている中東の権力のバランスは大きく変わってしまいます。イランは核兵器の開発を否定しており、シリアも攻撃を受けた施設は核兵器を製造していなかったと反論し、「ある国には核兵器の開発・保有が許されると同時にある国は平和的な核利用さえも許されないのはなぜか?」と攻撃を非難しています。
エジプトの核開発計画は1954年に始まりました。1961年に当時のソ連から初めての原子炉を手に入れましたが、1967年のイスラエルとの戦争のあとに処分されました。しかし2007年、近隣諸国のようにエジプトには石油資源がないため、エネルギー資源の確保のために原子力発電所を数個建設すると宣言しました。エジプト政府は、「われわれは、エネルギーを確保することがこの国の将来のために必要であり、エジプトの国家安全保障制度のために不可欠であると考える。石油と天然ガスは再生可能な資源ではないし、増加する需要に対応するために大きなチャレンジに直面している」と発表しました。
4月12日付けのアラビアンビジネスドットコムによると、アラブ首長国連邦はアラブ諸国で初めて民間の原子力プログラムを設立する準備を加速しているそうです。原子炉を作る理由は、2020年に想定される4万メガワットの需要に対応するだけの天然ガスがないからです。UAEは原子力に関する覚書をフランス、アメリカ、イギリス、日本と交わしています。UAE政府は2020年までに年間15000メガワットの電力を供給できる原子力発電所の建設を承認する最終段階に入っています。また最近ではヨルダンも電力供給の増加に対応するための原子炉建設に関する協力の覚書を交わしています。この覚書には、訓練、人材とインフラの発展、原子力発電とそれに関連する技術の適切な利用が含まれています。しかし原子力は、経済活動のために必要なエネルギーを確保する解決になると同時に、まだ解決される見通しのない政治的問題をより緊張させる要因にもなりかねないのです。
石油の産油国である中近東諸国でさえ、石油に依存しないエネルギー資源確保に動き始めています。そしてその動きは想像以上にドラスティックに変化してきています。
(パンオリエントニュース)